駅 名:『透光の樹』の鮨屋
企業名:西川屋
駅長さん:又川雅夫
住所:白山市鶴来日詰町カ161-1
TEL:272-0268
火曜・毎月第2水曜定休
白山の伏流水を使ったシャリと新鮮なネタが自慢です。
開業のいきさつ
祖父は免許町でうどんを出す店を開いていました。当時はこのあたりは花街でしたが、女将が西川流の名取りだったので、皆から通称で西川屋さんと呼ばれており、それが今の屋号になっています。昭和37年に先代の父が寿司店として開業しました。むかしはお祝い事や来客があると寿司の出前が入ったものです。
店内はカウンターで10名、小上がりで6名、二階座敷で12名がご利用できます。
白山の伏流水を使ったシャリと新鮮なネタが自慢です。
食材のこだわり
食材としては地元の魚が中心で、ほかの寿司屋ととくに変わったことは無いと思います。魚以外はすべて鶴来の地元の食材でまかなっています。米は地元の鶴来米、水は白山の伏流水で、敷地内の井戸の底をのぞいてみると、水が流れている様子がわかります。おいしい水が使えるのは食べ物屋としての大きなメリットですね。
醤油や味噌や酢はすべて鶴来の街なかで調達できるので、うちの寿司は昔ながらの地元醸造業に支えられた味と言っても良いでしょう。もちろん醤油は買ってきたそのままでなく、かつおとあわせて沸かしてから店独自の刺身醤油にしています。当然お酒も地元の萬歳楽と菊姫を揃えています。
観光客が見えて、鶴来らしいお寿司を求められても、とくに川魚などの珍しい食材を使う訳ではありませんが、ネタを支えているのはすべて鶴来の味と言えるでしょう。
寿司のネタについて
ネタは基本的なものの他に、白子やナマコ、このわた等季節感のあるものも仕入れるようにしています。するめいかの良いものが入ると、刺身に使える部分だけで自家製の塩からを作ることもあります。お客様が気に入って、小瓶でお分けしたこともあります。材料次第なので、いつでもある訳ではありません。
祭りの寿司
ほうらい祭りではなじみのお客様に笹寿司を振るまっています。先代は方々に笹寿司の講師に行くくらいですが、店で常時笹寿司をお出しするには至っていません。よくお客様が笹寿司を食べたいとおっしゃいますが、材料の笹を取りにいったり、洗って下ごしらえしたりする手間を考えると、今の仕事の片手間ではなかなか出来ませんし、本当に真剣によいものを作ろうとすると、値段もそれなりになってしまうのが悩みです。
ただし年に数回一六市などでは、屋台で笹寿司を販売することもあります。毎回すぐになくなってしまいますが、そのような折に、ぜひ寿司屋の笹寿司も味わってもらいたいと思います。
『透光の樹』のロケ
高樹のぶ子原作の映画『透光の樹』は、鶴来もロケ地になっています。当店はこの映画では「鮨 万楽」として登場しました。店主も寿司屋の店員Aとして登場しています。もとは出演する予定は無かったのですが、店員役の俳優に鮨の扱い方の演技指導をする際に、自分でやればもっと早いのに、とつい口に出して言ったら、翌日監督が出演依頼に来て、出ることになりました。
映画作りは照明や機材など準備が大変で、撮影機材も10トントラックで搬入し、機材のための専用のテントが店のそばにできました。店内にはロケ写真の一部と、出演者やスタッフが寄せ書きしてくれたのれんが展示してあり、よい記念になっています。鶴来町のひとたちもエキストラで出演していました。
今ではいろんなごちそうが増えましたが、これからも町の人たちが普通に利用し、愛される寿司屋でありたいと願っています。