加賀獅子の駅 「知田工房」

sisi_01駅 名:加賀獅子の駅
企業名:知田工房
駅長さん:知田善博
住所:白山市八幡町98
TEL:272-1696
ホームページ http://sisigasiraya.ocnk.net/

火曜定休
加賀獅子400年の伝統を受け継ぐ木彫り獅子頭制作工房。

初代清雲の誕生

獅子づくりは家業でもありませんでした。15歳くらいで桐たんすの職人として技術を得たのち、箪笥や桐箱をやっていましたが、獅子頭用の桐箱を手がけたときに、その獅子をみてこれをやろうと思い立ちました。どんなにうまく作っても箱はしょせん箱で、中身の獅子こそやりたいということでこの道に入りました。

まだまだ清雲のご指名が多いですが、もう古稀なので近々二代目が清雲を継ぐことで合意しています。

桐という材料

昔は桐は下駄や箪笥の用途があってお金になったが、今は用途が少ないので、木を育てる人がいなくなりました。今は昔植えたのを伐って使っています。材料は地元材が中心ですが、サイズが足りないときは、福島秋田の桐を仕入れることもあります。獅子頭の材料は、古いものでまれに柳などもありますが、獅子舞に使ったときの軽さから桐が選ばれます。

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受注生産

桐は乾燥しきってしまうと獅子にはなりません。できるだけ乾燥させて使う他の木と違うところです。伐ってから約2年しかもちません。原木を持っていても注文が入らなければ無駄になりますし、お客様によって顔の好みもあるので、あらかじめ彫っておいておくこともできません。

道具について

のみは誂えるのと市販のものとを使います。欄間で有名な富山県井波まで買いに行くこともあります。

毎日全部は研げませんが、使う分だけ研いでいます。若いときから一本ずつそろえてきて、一品一万円以上のものもあります。獅子の大小で道具も全部ちがい、本数は全部で200本くらいになりました。道具だけでもひと財産です。

親子でも道具は別々ですし、ひとの道具は研ぎ方をみればすぐわかりますね。何十年も使っていると手の一部になっていて、作業のときには意識せずに手が動いてのみを探しあてるようになります。
私たち親子、叔父、弟子と、全員がちがった流儀で彫っています。

獅子の後加工

小さいのはここで塗りますが、大きい獅子は仏壇屋さんに塗ってもらいます。獅子のあごをつなぐ金具も鍛冶屋がいなくなりました。かざり金具の職人も金沢にいましたがいなくなった。馬の毛の職人もなくなリ、そのため毛だけでも5万円から7万円かかります。

目玉は真鍮が基本ですが、仏壇用と違って板が厚く加工がむずかしい。形状もそれぞれの獅子の曲面にあったものを個々につくるので、高くつきます。目玉は真鍮のかわりに金ぱくも使われますが、こすると黒くはげてくるし、金属のようなきれいな曲面にはなりません。

獅子本体よりも部品をそろえるのが高くつくようになりました。獅子舞で使う樫(かし)の棒をつくってくれるひともいなくなりました。昔はいろんな需要が多く工芸の厚みがあったので鶴来町内で全部調達、修理できましたが、いまは違います。遠くの職人に頼むと送料もかかるし、獅子頭本体の作業であれば、自分でかかえて列車で持ってゆきます。

いつ獅子をつくるか

昔は誕生や初老や還暦など人生の節目ごとに獅子頭を新調したものですし、住宅を新築したら床の間に獅子を置いたものですが、今は床の間自体がなくなったし、孫に獅子頭を買うときも、マンション暮らしのため小さいものが欲しいといわれます。

そのほかの用途では、日本企業が現地法人設立時に、シンボルで買ってゆく場合や、姉妹都市などに相手方への贈答品としても使われたこともあります。魔除け厄よけの意味でロビーに飾られているようです。もとは魔除け厄よけとしてまち全体を清めるものでしたので、福を呼ぶものと言っても良いでしょう。

鶴来の旧町内には町ごとに獅子がありますが、いまでは個人で獅子をもつひとはすくなくなりました。新調するときは、一切お任せの人もいますが、町内の獅子をベースにここをこうしてくれと、と細かく注文するひともいます。このため、ひとつとしておなじものはありません。

修理について

うちで作ったかどうかに関わらず、獅子の修理は全部お受けしています。県内からが多いですが、年間1-2個は県外からもやってきます。場所ごとの祭りによって、獅子頭に木刀をぶつけたりするような荒っぽい祭りもあり、獅子頭がまっぷたつになっているものもあります。

最近はアスファルトに鼻面を引き摺られたものなど、大掛かりな外科手術が必要な獅子も修理にきました。職人不足で、歯一本修理しても3万円もします。

一番古い修理では、140-150年前くらいのがきます。実用品としてはその程度のふるさで、それより古いものは使われずに博物館にゆくのでしょう。かたちも現在のものとは異なり、釘も断面が四角くて回しても抜けなかったりしますが、当時の職人の手間をかけた仕事は大変勉強になります。

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後継者

初代と二代目清雲のほかに、30代の職人がいます。需要や部品の手配等、これからもっと厳しくなることでしょう。もともとそんなに仕事がくる職業ではないので、自分が好きならやればよいと思っています。これからは部品を調達するのが一番むずかしいでしょう。

獅子文化の保存

新しくできた団地でも獅子を新調したところがありますしし、祭りのときだけ獅子頭を貸し出したこともあります。そのように子供たちに獅子舞いをやらせたいと願うひとには、協力してゆきたいと思っています。

獅子も子供の頃からやっていると違いますし、見るだけでなく実際にやっていると面白さが実感できます。